「こんな目の異常があったら眼科へ!」眼科医が受診の目安と眼科で受けられる治療を紹介


「こんな目の異常があったら眼科へ!」眼科医が受診の目安と眼科で受けられる治療を紹介

ちょっとした目の不調を「目が疲れてるな」や「年齢のせいかな」と放置してしまうことはありませんか? 今回は「眼科受診の目安」や「眼科治療でできること」などについて、先生にご説明いただきました。

眼科ってどんなときに行くの? 「なんとなく見えにくい」でも受診していい?

Q. どんなときに眼科を受診したらいいのでしょうか?

A. 目の痛み、かゆみ、かすみなど、普段と違う症状がある場合はもちろん、自覚症状はなくても「一部だけ白目が真っ赤になっている」など周囲から指摘された場合も受診の目安になると思います。とくに、目の痛みや見えづらさを感じているときは、角膜の感染や網膜剝離などの重大な病気の可能性があるので、様子を見るより早めに受診することをおすすめします。

Q. ほかには、どんなときに受診するのがいいですか?

A. 「突発的に何かあった」という場合以外でも、定期的に受診していただくことが大切です。例えば、糖尿病には「糖尿病腎症」「糖尿病網膜症」「糖尿病神経障害」の三大合併症があります。内科に通院していると、月々の血糖値の変化は検査結果で見ることができます。「糖尿病腎症」は内科の先生が採血で腎機能を見ており、「糖尿病神経障害」は足の裏の感覚が鈍いなどの自覚症状が出ます。ところが、「糖尿病網膜症」は状態が悪化して視力が突然低下するまで自覚症状が出ません。もし、定期的に眼科を受診していれば、視力が低下するまでの間に眼底検査で網膜からの出血などの小さい変化がわかります。そして、「悪化しないうちに血糖値のコントロール強化をお願いします」などの情報を内科の先生と共有することで、網膜の状態の改善を図ることができるのです。

Q. 糖尿病網膜症以外にも、気づかずに進行していく目の疾患はありますか?

A. 「白内障」も急な変化がなく、自覚が難しい病気です。年齢と共に少しずつ水晶体と呼ばれる目の中のレンズが濁っていき、視力が低下します。昨日と今日で視力が変化した場合は気づく人がほとんどですが、十数年かけて少しずつ視力が低下した場合、その変化を自覚することは難しいでしょう。「眼鏡の度数がズレてきていないか」「免許の更新に必要な視力がまだあるか」などを定期的に眼科で確認するのがおすすめです。

Q. やはり、専門家に目の状態を定期的に診てもらうことが大事になってきますね。

A. はい。とくに、45歳を過ぎるとピント調節の力が弱まってくることもあり、眼科の需要が高くなります。今までどおり遠くが見える度数で眼鏡やコンタクトレンズを合わせていると手元が見えづらくなるので、少し弱めに合わせたり遠近両用の度数に変えたりする工夫が必要になってきます。45歳以上でピントが合わなくなってきたと感じた場合は一度検査を受けていただくことをおすすめします。また、先述した「白内障」は、60歳を過ぎると急激に増えますので、60歳を過ぎたらこまめに眼科を受診するようにしましょう。

眼科で受けられる目の検査・治療は?「受診の流れ」を紹介

Q. 眼科では、何をするのでしょうか?

A. 例えば、飛蚊症の自覚がある場合は、眼底検査をすることで網膜剝離などの失明に至る重大な病気を発見することができます。早期発見できれば、手術には至らずにレーザー治療をおこなうこともできます。また、「年だから仕方ない」と思われがちな白内障も、進行を遅くする点眼薬で対策を講じることができます。総じて、眼科へ受診していただければ、薬の処方や眼鏡の調整、レーザー、手術など、適切な対処ができます。

Q. 受診の流れについて教えてください。

A. まずは、症状の現れた時期やきっかけなどについての情報を問診で伺います。その後、視力検査や眼圧検査などの「一般検査」をおこない、それから診察となります。診察の前に検査をおこなうのは内科などとは少し順番が異なるので、戸惑う人もいらっしゃるかもしれませんね。検査結果が出揃った段階で診察をして、診断や治療について説明させていただいたり、さらなる検査をしたりします。

Q. さらなる検査とは?

A. 例えば、緑内障が疑われるのであれば「OCT(眼底三次元画像解析装置)」を使って網膜の厚みを調べたり、視野検査をおこなったりします。また、アレルギーがある場合はアレルゲンを特定するための採血検査もします。症状や疑われる病気によって必要な検査をおこないます。

眼科を受診する際の注意点 持ち物やコンタクトレンズはどうするべき?

Q. 眼科を受診する際の注意点はありますか?

A. 問診の際、症状が出始めた時期やきっかけなどを伺います。そのため、「どんな症状がいつ頃からあったのか」などを、思い出せる範囲で構いませんので説明できるようにしておきましょう。また、学校や職場の健診などで受診を勧められた場合、そちらの検査結果などもお持ちいただくといいと思います。加えて、症状によっては瞳孔を開く検査をすることがあります。ピントが合わない状態がしばらく続いて運転に支障が出ますので、可能な限り公共交通機関での来院をおすすめしています。

Q. コンタクトレンズはどうしたらいいですか?

A. 普段からコンタクトレンズをつけている人は、眼鏡を持参するようにしましょう。視力検査では裸眼と矯正それぞれの視力を測るため、コンタクトレンズは検査前に外していただきます。その後の診察では、画像を使って目の状態を説明します。その際、眼鏡がないと画面が見えづらく説明が分かりにくくなってしまうので、眼鏡は持ってきていただいた方がいいというわけです。また、診察して眼球が傷ついていた場合などは、しばらくの間、コンタクトレンズを装着しないように指導させていただくことがあります。その際、眼鏡がないと非常に不便なので普段から度数の合った眼鏡を持っているといいと思います。なお、使い捨てでないコンタクトレンズを使用している人は、レンズケースなども持ってくるといいでしょう。


高橋 大樹(前橋みなみモール眼科)

山梨大学医学部卒業。大学病院や民間医療機関での眼科診療を経た2019年、群馬県前橋市に「前橋みなみモール眼科」開院。土日祝日対応の「通いやすいクリニック」を心がけている。Twitter(@mec2019_8)にて、ユーザーの目に関する質問・疑問に答えている。日本眼科学会認定眼科専門医。日本眼科医会、日本小児眼科学会、日本近視学会、日本弱視斜視学会、日本眼科アレルギー学会、日本網膜硝子体学会の各会員。


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
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