肩こり・腰痛 - PDFアップロード確認用


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O脚は見た目もさることながら、姿勢の崩れにつながり膝の痛みの原因にもなると言われています。O脚を自分で改善する方法を知ることが、いつまでも元気に歩ける身体づくりの基礎になるでしょう。今回は、O脚改善の方法について理学療法士に解説していただきました。

O脚の改善は生活習慣や姿勢の崩れからくるものには期待ができる

Q. そもそもO脚とはどんな状態ですか?

A. O脚(内反膝)とは、両膝が外側に湾曲した状態で、左右の内くるぶしを揃えても、左右の膝の内側が接しない状態を言います。一般的に乳幼児の膝は生理的にO脚を呈していますが、7歳頃で成人の下肢形態に近くなります。セルフチェックの方法は、両足をそろえて鏡の前に立ち、両足の太ももの付け根、膝、脹脛(ふくらはぎ)がくっついているかどうかを確認するのが一般的です。膝に隙間ができる方はO脚と言えるでしょう。

Q. O脚を放置するとどんなリスクがありますか?

A. 見た目の問題を気にされる方も多いですが、長期間O脚を放置していると将来的に変形性膝関節症のリスクを高める恐れがあります。日本における変形性膝関節症の患者数は約2530万人とされており、40歳以上の男性で42.6%、女性では62.4%にものぼる有病率であると言われています。また、膝痛を訴える日本人のうち実に9割の方がO脚であるとも言われていますので、O脚の改善は歩く力を保つためにも大切なことと考えていいでしょう。

Q. O脚をセルフケアで改善することはできるのでしょうか?

A. 左右対称な変化であり、痛みや機能障害がない成人の方は、姿勢の崩れや筋肉のアンバランスが要因である場合もあり、改善効果が期待されます。片側の変形の場合や、先天的・後天的を問わず構造や形態の異常によるものは病的な変形とされ、セルフケアでの改善はしづらいとされています。

O脚の改善につながるストレッチの方法

Q. ストレッチによってどんな効果が期待できますか?

A. O脚になると膝関節は外に向かって湾曲する形になります。湾曲の増強につながる筋肉の過緊張状態が正しい緊張に戻ることで、O脚改善の効果が期待されます。筋力トレーニングの準備運動として行うと筋肉の緊張のバランスが整い、トレーニング中の運動効果も上がりやすくなると考えられます。

Q. 実際に行うストレッチの方法を教えて下さい。

A. O脚に影響を与える筋肉として、太もも前外側にある外側広筋、ふくらはぎにある下腿三頭筋の過緊張が考えられます。まず、外側広筋のストレッチです。

①うつ伏せに寝る
②片方の膝をお尻に向かって曲げる
③同じ側の手で足の甲を掴み、足の裏を内側に向ける
④お尻にかかとをつけるように深く曲げる

続いて、アキレス腱のストレッチです。

①壁の前に立ち、両手を壁に当てる
②伸ばしたい方の足を一歩後ろに下げる
③後ろ足の膝を伸ばし、つま先はまっすぐ前に向け、かかとを浮かさない
④壁に体重をかけ、前の方の膝をゆっくり曲げ、アキレス腱に伸びを感じる所で止める

Q. ストレッチを行う際の注意点はありますか?

A. どの運動でも一緒ですが、まずは運動に適した服装で、体調に問題がない時に行いましょう。ストレッチは意図的に筋肉を伸ばす運動のため、強い痛みを伴うほど無理に伸ばさないようにすることが大切です。また、息を止めてしまうと筋肉の緊張が上がり効果が下がるため、ゆっくり呼吸をしながら行いましょう。ストレッチの時間や頻度は様々な報告がありますが、1回30~60秒、1日2~3回を目安に行うと良いでしょう。筋肉の温度が上がっているとストレッチの効果も出やすいため、入浴後などに行うとより効果的です。

ストレッチ以外の改善方法は?

Q. 下肢の筋力をつけることでも、O脚は改善しますか?

A. O脚改善には、ストレッチと共に筋力強化が非常に大切です。特に股関節内転筋(内もも)の筋力が重要と考えられます。外側に湾曲した膝関節を、内ももの筋力を使い閉じることで正しい位置に修正できる可能性があります。特に効果的なのはワイドスクワットやサイドランジなどです。方法の詳細については割愛しますが、参考動画などを見ながら正しいフォームで行うようにしましょう。特にスクワットやランジ動作は細かい部分の注意点が多いため、しっかりと確認しながら実施することをお勧めします。

Q. 生活習慣にも目を向けるべきでしょうか?

A. 膝に負担のかかる動作を繰り返すと、O脚に限らず姿勢の崩れにつながります。正座やあぐら座り、横座りは膝に大きく負担のかかる姿勢のため、可能な限り避けるべきでしょう。また、椅子に座っているときの猫背姿勢も注意が必要です。骨盤が後傾することで足が開きやすくなり、内ももの筋力低下につながる可能性があります。背筋を伸ばし、足を床につけ、膝を閉じた姿勢を心がけるようにしましょう。

Q. 歩き方で意識する方法があれば教えて下さい。

A. ガニ股や内股は姿勢を崩す原因となり、膝に負担がかかるため避けましょう。また、モデルのように一本線の上を歩くような足の運びも、実は膝に負担がかかりやすいと言われています。膝に負担をかけないためには、肩幅より少し狭いくらいに足を開き、2本の線の上を歩くように足を運ぶことが有効とされています。歩き方のポイントとしては、つま先でしっかり地面を蹴って、かかとから着地するように意識しましょう。足を前に出す時は膝を伸ばして、つま先を正面に向けるようにすると良いでしょう。


武田 直人(理学療法士)

目白大学保健医療学部理学療法学科卒業。大学卒業後、横浜市内の総合病院に勤務。急性期から地域リハビリテーションまで幅広く経験した後、2017年から日本初の足の総合病院である「下北沢病院」で理学療法士として従事。「なぜベストを尽くさないのか」をモットーに、足の健康を守るためにリハビリの視点から活動中。認定理学療法士(循環)、心臓リハビリテーション指導士。


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
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